ぞくっ、

ルール

Wさんが大学生の時の話。Wさんはその大学の寮に入っていたそうだ。

その寮はルールがけっこう緩めで、特に門限に関してはまったく設定されていなかった。ただ、一個だけ……これだけは絶対に守れと言われていたルールがあった。

それは、夜間に一階から二階への階段を上り下りする際、必ず灯りをつけろというものだった。その階段はかなり傾斜が急で、しかも寮の廊下の灯りが暗めだったことから、事故を避けるためだろう……そう、Wさんは理解していた。

ただそもそも、階段の灯りつけないと上り下りが難しい。なので、わざわざルールに定めてなくても自然に守る……そのくらい、廊下の灯りは暗かった。しかし…寮生活に慣れた、ある夜のこと。

Wさんはトイレに行こうと部屋を出た。Wさんの部屋は二階、トイレは一階。トイレに行くためには階段を下りる必要があった。階段を上り下りするなら、灯りをつける。寮のルールだ。

ただ、その時Wさんはスイッチをつけ忘れた。寮生活に慣れてきたため、灯りがなくとも感覚で階段を上り下りできるようになっていたためだ。

スイッチをつけ忘れたことに気付いたころには、既に階段中ほどまで下りていた。もう一度上まで引き返してスイッチをつけるのは面倒くさい…。そう思ってWさんは、そのまま階段を下りた……。

一段、二段と下り…Wさんの感覚では、足が一階の床につく……そう思った時のこと。

ぐにゃり…と、足の裏に妙な感覚があった。

やわらかく、少し湿っているような…感覚。その感覚にWさんは驚いて、階段から足を踏み外した。

……気付くと、階段の灯りがついていて、他の寮生がWさんを抱き起こしていたそうだ。

後日、Wさんが寮のOGに確認したところ、こんな話が聴けた。ある年から、その階段で足を踏み外す事故が多発するようになった。事故は必ず階段の灯りをつけなかった時に起きたので、そのせいかと思われた。しかし…。

足を踏み外した者はみな一様に、気持ち悪い、ぐにゃりとした何かを踏んだと…そう、訴えたのだという。

それ以来、その階段では必ず灯りをつけるというのがルールになったそうだ。

怖い話データ

観測場所:東京

観測者:女性(当時年齢:不詳)

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